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暦日をまたいで継続勤務した場合の割増賃金の計算方法

暦日をまたいで継続勤務した場合の未払い残業代・残業手当・深夜手当・休日手当などの割増賃金の計算は,1回の勤務として計算することになります。ここでは暦日をまたいで継続勤務した場合の割増賃金の計算方法について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

暦日をまたいで継続勤務した場合の割増賃金

労働基準法では,使用者は,労働者が(法定外)時間外労働をした場合には基礎賃金の1.25倍以上の割増賃金残業代)を,深夜労働をした場合には基礎賃金の1.25倍以上の割増賃金(深夜手当)を,(法定)休日労働をした場合には基礎賃金の1.35倍以上の割増賃金(休日手当)を,それぞれ支払わなければならないとされています。

※なお,使用者が一定の大企業で,かつ,労働者の時間外労働が月に60時間を超える場合には,その60時間超過部分については,基礎賃金の1.5倍以上の残業代を支払わなければならないとされています。

これらの割増賃金の計算は,労働が暦日1日(0時から24時まで)の間に収まっていれば,通常どおりに計算すれば足ります。

もっとも,勤務内容によっては,始業時刻の属する日からその日の翌日の朝まで勤務するというように,2暦日をまたいで継続勤務するということもあるでしょう。

このような暦日をまたいで継続した場合,暦日をまたいでいるか否かにかかわらず始業から終業までを1勤務日とみて割増賃金を計算すべきなのか,それとも,24時を境にして新たな勤務が開始されたとみて,複数の暦日における勤務として割増賃金を計算すべきなのかということが問題となってきます。

例えば,ある日に午前9時から勤務を開始し,休憩1時間を挟んで,翌日の午前5時まで勤務していたという場合,1勤務日とみるのであれば,午後6時から翌日の午前5時労働はすべて時間外労働となります。

ところが,午前0時を境に別勤務日であると解すると,午後6時から午前0時までは時間外労働となりますが,それ以降は別勤務日であるため,午前0時から午前5時までは時間外労働ではないということになります。

そうすると,割増賃金の計算に非常に大きな差異を生じることになります。そのため,暦日をまたぐ継続勤務における割増賃金の計算をどのように解するのかが問題となることがあるのです。

>> 割増賃金とは?

1暦日目・2暦日目が所定労働日である場合

継続勤務における1暦日目が所定労働日で2暦日目も所定労働日であった場合の割増賃金の計算に関する解釈として,昭和63年1月1日基発1号通達があります。

昭和63年1月1日基発1号によれば,「継続勤務が2暦日にわたる場合には,たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取扱い,当該勤務は始業時刻の属する日の「1日」とすること。」とされています。

つまり,始業時刻から2暦日目における終業時刻までを1つの勤務日として扱って割増賃金を計算するということです。

考えてみれば,労働基準法も,午後10時から翌日午前5時までを深夜労働時間としており,暦日をまたいだ場合でも勤務としては継続しているということを前提としていると考えられますから,暦日をまたいだ場合であっても,1勤務として扱うとするのが妥当でしょう。

したがって,前記の例でいうと,午前9時から翌日の午前5時までが1勤務として扱われ,午後6時から翌午前5時までが時間外労働となるということです。

なお,もちろん午後10時から翌日午前5時までは深夜労働となり,別途,深夜割増賃金の支払いも必要となります。

終業時刻が翌日の所定始業時刻以降となる場合

上記のとおり,1暦日目が所定労働日で2暦日目も所定労働日である場合には,1暦日目の始業時刻から2暦日目における終業時刻までが1勤務日として扱われるのが原則です。

ただし,2暦日目における終業時刻が,翌日の所定労働日の始業時刻を超える場合には,別の考慮が必要となります。

翌日の所定労働日の始業時刻を超える場合について,平成11年3月31日基発168号は「翌日の所定労働時間の始期までの超過時間に対して,法第37条割増賃金を支払えば法第37条の違反にならない。」としています。

つまり,終業時刻が2暦日目の始業時刻を超えてしまう場合には,時間外労働として扱われるのは2暦日目の始業時刻までとなり,その始業時刻を境に,それ以降の労働は時間外労働ではなくなるということです。

例えば,所定始業時刻が午前9時で,平成26年6月18日の午前9時に始業し,休憩時間を除いて,翌日同月19日の午前10時まで継続勤務した場合でも,時間外労働となるのは18日午後6時から19日午前9時までであり,午前9時から10時までの労働は,通常の労働時間として扱われることになるということです。

なお,もちろん午後10時から翌日午前5時までは深夜労働となり,別途,深夜割増賃金の支払いも必要となります。

この場合,問題となるのは,継続勤務を1回の勤務として扱うのかどうかという点でしょう。

上記平成11年3月31日基発168号通達は,2暦日目の始業時刻以降は通常の所定労働として扱うというのですから,その始業時刻以降は別の勤務日が開始したものとして扱っていると思われます。

したがって,前記の例ですと,平成26年6月18日午前9時から翌19日午前9時までが1勤務,それ以降の午前9時から午前10時までが別の1勤務となるということです。

ただし,これはあくまで通達の行政解釈です。労働者の権利を重視して,2暦日目の始業時刻以降も1暦日目からの継続勤務であり時間外労働である,と解釈する余地も当然あるでしょう。

1暦日目が所定労働日で2暦日目が法定休日である場合

継続勤務における1暦日目が所定労働日で2暦日目は法定休日であった場合には,2暦日目が所定労働日であった場合とは異なる考慮が必要となります。

なぜなら,法定休日労働に対しては,基礎賃金の25パーセント増しとなる時間外労働と異なり,基礎賃金の35パーセント増しの割増賃金の支払いが必要となる上,法定休日は午前0時から24時までであると解されていることから,単純に1勤務としてしまうと,法定休日において継続勤務した労働時間が時間外労働として扱われ,本来であれば法定休日労働による35パーセント増しとなるはずの割増賃金が減額してしまうことになるからです。

この継続勤務における1暦日目が所定労働日で2暦日目は法定休日であった場合の割増賃金の計算に関する解釈として,平成6年5月31日基発331号通達があります。

平成6年5月31日基発331号通達は,「法定休日である日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が休日労働となる。したがって,法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日に及んだ場合及び法定休日の勤務が延長されて翌日に及んだ場合のいずれの場合においても,法定休日の日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が3割5分以上の割増賃金の支払を要する休日労働となる。」としています。

つまり,継続勤務における1暦日目が所定労働日で2暦日目は法定休日であった場合には,午前0時(24時)以降の労働は法定休日労働になるということです。

例えば,ある日に午前9時から勤務を開始し,休憩1時間を挟んで,法定休日である翌日の午前5時まで勤務していたという場合であれば,2暦日目の午前0時から午前5時までは法定休日労働として扱われるということです。

また,平成6年5月31日基発331号通達は,さらに「休日労働と判断された時間を除いて,それ以外の時間について法定労働時間を超える部分が時間外労働となる。この場合,一日及び一週間の労働時間の算定に当たっては,労働時間が二暦日にわたる勤務については勤務の開始時間が属する日の勤務として取り扱う。」としています。

したがって,上記の例で言えば,1暦日目の午後6時から午前0時までは時間外労働となるということです。

なお,もちろん午後10時から翌日午前5時までは深夜労働となり,別途,深夜割増賃金の支払いも必要となります。

1暦日目が法定休日で2暦日目が所定労働日である場合

前記1暦日目が所定労働日で2暦日目は法定休日であるば場合とは逆に,1暦日目が法定休日で2暦日目が所定労働日であった場合も,考え方は同じです。

つまり,1暦日目の法定休日労働は午前0時(24時)で終了し,それ以降の労働は通常の労働となるということです。

したがって,ある法定休日に午前9時から勤務を開始し,休憩1時間を挟んで,所定労働日である翌日の午前5時まで勤務していたという場合であれば,午前9時からその日の午後12時(午前0時)までは法定休日労働となりますが,それ以降の労働は通常の労働となるということです。

1暦日目・2暦日目がいずれも法定休日である場合

1暦日目・2暦日目がいずれも法定休日であった場合は,時間外労働と法定休日労働の割増率の違いを考慮する必要がありません。

したがって,1暦日目の始業から2暦日目における就業時刻まですべて法定休日労働ということになります。

1暦日目,2暦日目又は両日が法定外休日である場合

労働基準法上の休日には,前記の法定休日のほか,法定外休日と呼ばれる休日もあります。この法定外休日における労働は,法定休日労働と異なり,休日割増賃金は発生しません。

ただし,法定外休日における労働であっても,休日に労働しているのですから,所定賃金とは別途,通常賃金相当分の賃金支払いは必要となりますし,また,時間外労働に該当する場合には時間外労働に対する割増賃金(残業代)の支払いも必要となります。

なお,1暦日目・2暦日目のいずれか,または両日ともに法定外休日であった場合は,1暦日目・2暦日目のいずれかまたは両日ともに所定労働日であった場合と同様です。

すなわち,原則として,日をまたいでも始業から終業までは1勤務として扱われ,法定労働時間・週制限労働時間を超える部分は時間外労働となるるということです。

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