裁判所を利用して未払い賃金・残業代等を請求する方法の1つである「労働訴訟」の特徴について,ご説明いたします。
労働訴訟とは?
裁判所を利用して未払い賃金・残業代などを請求する方法の1つに「労働訴訟」が考えられます。ただし,労働訴訟という特別の訴訟制度があるわけではありません。あくまで,通常の訴訟と同じであり,ただ労働問題の訴訟というほどの意味です。
もっとも,東京地方裁判所などの大規模庁では,労働訴訟を専門的に扱う部署が設けられています。「労働部」とか「労働専門部」などと呼ばれています。東京地裁では,民事第11部,民事第19部,民事第36部が労働専門部となっています。
ここで簡単に訴訟という制度について説明します。
訴訟とは,誤解を恐れずにごく簡単に言うと,まず,両当事者がそれぞれ,ある事実があったかどうかを主張します。その事実があるかどうかについて当事者間に争いがある場合,その事実を主張している当事者は証拠を提出して,その事実がある(又は無い)ことを立証します。
そのような当事者による主張・立証をもとに,裁判所がその事実があるかどうかを判断し,その判断をもとに事実を法律に当てはめて判決という終局的な判断を下す,というものです。
例えば,未払い残業代請求の労働訴訟の場合ですと,労働者側が,何時間残業したという事実を主張し,争いがあればタイムカードなどの証拠を提出して主張した残業時間働いたことを立証します。その主張と証拠をもとに,裁判所がその時間残業していたかどうかを判断し,残業代を支払わせるべきかどうかという判決を下します。
判決は確定すると,強制力を持つことになります。要するに,その確定判決があれば,例え相手方が任意に支払わなかったとしても,いつでも相手方の財産に対して強制執行をすることができるようになります。債務名義と呼ばれます。
調停や労働審判で決着がつかなかった場合,最終的には,この労働訴訟によって白黒をつけることになります。ただし,必ずしも最初は調停や審判をしなければいけないということではありませんので,場合によっては,最初から訴訟にしてしまった方がよいという場合も少なくありません。
訴訟は3段階あります。つまり,3ラウンド戦う機会が与えられているわけです。一般的な場合ですと,地方裁判所での第一審,高等裁判所での控訴審,そして,最高裁判所での上告審という流れになるでしょう。3回審理が行われるという意味で,三審制と呼ばれています。
なお,訴訟においても話し合いが行われる場合があります。和解期日と呼ばれ,判決ではなく和解によって紛争を解決することができないかを話し合うというものです。








