裁判外の交渉によって未払い賃金・残業代請求をする場合,いくつか注意しなければならないことがあります。ここでは,残業代等請求の交渉において注意すべきことについて考えます。
証拠の確保
残業代等を交渉で請求するとしても,交渉が決裂すれば,裁判で請求することを考えなければなりません。訴訟や労働審判などの裁判手続では,証拠が重要となってきますから,交渉の段階であっても証拠のことを考慮しておく必要があります。
相手方もそれは同じことです。したがって,証拠がある方が,交渉が有利になることは疑いありません。
労働・雇用契約書・就業規則・タイムカードなどの書面が十分に開示されているのであれば,あまり気にすることはないかもしれませんが,そうでない場合には,交渉においても,できる限り,その後の交渉または訴訟のための証拠を収集できるように注意する必要があります。
そこで,交渉においても,その経過をできる限り記録しておくことが重要です。例えば,書面やメールなどで交渉するようにしたり,直接話をするのであれば録音をするようにしておいたりという配慮が必要となってきます。
また,交渉においては,前記の労働契約書などの書面を開示するように求めることも必要となるでしょう。この開示請求も書面に残しておけるように,内容証明などで開示請求するべきです。
その他の注意点
上記証拠の確保のほかに交渉において注意すべきことは,法的な問題というよりも,多分に主観的な問題です。
要するに,不必要に感情的にならないということです。経験上,感情的になってもよいことはないと思います。相手に不必要な揚げ足取りをさせないようにするためにも,あくまで冷静に交渉すべきです。
また,相手方の主張がはたして合理的なのかどうかを判断できるように,法律的に何が正しいのかということも,最低限知っておく必要があります。場合によっては,労基署やわれわれ弁護士の助言を求めることも必要となってくる場合があるでしょう。










