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労働基準法の基本

就業規則が有効になるための要件とは?

使用者は,就業規則を作成できますが,それが有効となるためにはいくつかの要件を満たしていなければなりません。ここでは,就業規則が有効になるための要件とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

就業規則の要件

就業規則とは,労働者が就業する上で遵守しなければならない規律および労働条件の具体的な細目について定める規則のことをいいます。

この就業規則で定められた労働条件は,労働契約の内容となるとされています(労働契約法7条)。したがって,就業規則で定められている労働条件は,使用者だけでなく,労働者に対しても法的な拘束力を及ぼすことになるのです。

もっとも,就業規則が有効になるためには,以下の要件を満たしている必要があります。

  • 就業規則に必ず記載しなければならない事項(必要的記載事項)が記載されていること
  • 特定の内容を定める場合には,それに応じて必ず記載しなければならない事項(相対的記載事項)が記載されていること
  • その就業規則を適用する事業場に,労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の,労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴いたこと
  • 作成した就業規則を労働者に周知したこと

>> 就業規則とは?

就業規則の記載事項

労働基準法 第89条
常時10人以上の労働者を使用する使用者は,次に掲げる事項について就業規則を作成し,行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても,同様とする。
① 始業及び終業の時刻,休憩時間,休日,休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
② 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定,計算及び支払の方法,賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
③の2 退職手当の定めをする場合においては,適用される労働者の範囲,退職手当の決定,計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
④ 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては,これに関する事項
⑤ 労働者に食費,作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては,これに関する事項
⑥ 安全及び衛生に関する定めをする場合においては,これに関する事項
⑦ 職業訓練に関する定めをする場合においては,これに関する事項
⑧ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては,これに関する事項
⑨ 表彰及び制裁の定めをする場合においては,その種類及び程度に関する事項
⑩ 前各号に掲げるもののほか,当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては,これに関する事項

就業規則には,必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項),特定の制度を設ける場合には必ず記載しなければならない事項(相対的記載事項),必ず記載しなければならないわけではない事項(任意的記載事項)があります。

絶対的記載事項

就業規則の絶対的記載事項には,以下のものがあります。

  • 始業・終業の時刻
  • 休憩時間
  • 休日
  • 休暇
  • 賃金の決定・計算・支払の方法
  • 賃金の締切り・支払の時期
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

相対的記載事項

就業規則の相対的記載事項には,以下のものがあります。

  • 労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては,就業時転換に関する事項
  • 退職手当の定めをする場合においては,適用される労働者の範囲・退職手当の決定・計算・支払の方法・退職手当の支払の時期に関する事項
  • 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては,これに関する事項
  • 労働者に食費・作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては,これに関する事項
  • 安全及び衛生に関する定めをする場合においては,これに関する事項
  • 職業訓練に関する定めをする場合においては,これに関する事項
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては,これに関する事項
  • 表彰及び制裁の定めをする場合においては,その種類及び程度に関する事項
  • 当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては,これに関する事項

任意的記載事項

上記絶対的記載事項や相対的記載事項のほかにも,任意的記載事項を定めることができます。例えば,使用者・会社の目的や服務規律などがこれに該当します。

労働者の意見の聴取

労働基準法 第90条
第1項 使用者は,就業規則の作成又は変更について,当該事業場に,労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合,労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
第2項 使用者は,前条の規定により届出をなすについて,前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

就業規則は,使用者において作成することが可能ですが,その就業規則を適用する事業場に,労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の,労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないとされています。

労働者への周知

労働基準法 第106条 第1項
使用者は,この法律及びこれに基づく命令の要旨,就業規則,第18条第2項,第二24条第1項ただし書,第32条の2第1項,第32条の3,第32条の4第1項,第32条の5第1項,第34条第2項ただし書,第36条第1項,第37条第3項,第38条の2第2項,第38条の3第1項並びに第39条第4項,第6項及び第7項ただし書に規定する協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議を,常時各作業場の見やすい場所へ掲示し,又は備え付けること,書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて,労働者に周知させなければならない。

労働基準法施行規則 第52条の2
法第106条第1項の厚生労働省令で定める方法は,次に掲げる方法とする。
① 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し,又は備え付けること。
② 書面を労働者に交付すること。
③ 磁気テープ,磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し,かつ,各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

就業規則を作成した場合,使用者は,その就業規則を労働者に周知しなければなりません。

周知の方法としては,具体的には以下の方法が挙げられます。

  • 常時各作業場の見やすい場所へ掲示または備え付け方法と
  • 書面を労働者に交付する方法
  • 磁気テープ,磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し,かつ,各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する方法

これら就業規則の労働者への周知をしなかった場合には,その就業規則の効力を労働者に対抗できないと解されています。

労働基準監督署長への届出の要否

労働基準法施行規則 第49条
第1項 使用者は、常時10人以上の労働者を使用するに至つた場合においては,遅滞なく,法第89条の規定による就業規則の届出を所轄労働基準監督署長にしなければならない。
第2項 法第90条第2項の規定により前項の届出に添付すべき意見を記した書面は,労働者を代表する者の署名又は記名押印のあるものでなければならない。

就業規則を作成した場合,使用者は,その就業規則を管轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。また,労働組合等の意見を聴取した書面も添付して届出をする必要があります。

なお,一般的には,就業規則を労働基準監督署長に提出していなかった場合でも,就業規則の効力は発生すると解されていますが,就業規則を濫用する可能性があることを考えると,労働基準監督署長への届出も就業規則の効力要件とすべきと思われます。

不利益変更の禁止

労働契約法 第9条
使用者は,労働者と合意することなく,就業規則を変更することにより,労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし,次条の場合は,この限りでない。

労働契約法 第10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において,変更後の就業規則を労働者に周知させ,かつ,就業規則の変更が,労働者の受ける不利益の程度,労働条件の変更の必要性,変更後の就業規則の内容の相当性,労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは,労働契約の内容である労働条件は,当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし,労働契約において,労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については,第12条に該当する場合を除き,この限りでない。

使用者は,就業規則を変更することができます。もっとも,就業規則が変更されれば,労働者の労働条件も変更される可能性があるのですから,使用者が勝手に就業規則を変更できるとすると,労働者に重大な不利益を被らせるおそれがあります。

そこで,就業規則の変更をもって,労働者に不利益となる労働条件の変更はできず,労働者との個別の合意が必要であるのが原則とされています(労働契約法9条)。

ただし,以下の場合には,労働者の個別合意なく,就業規則の変更によって労働者の労働条件を不利益に変更することができるとされています(労働契約法10条)。

  • 変更後の就業規則を労働者に周知させること
  • 就業規則の変更が,労働者の受ける不利益の程度,労働条件の変更の必要性,変更後の就業規則の内容の相当性,労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであること
  • 労働契約において,労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していないこと

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