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労働基準法の基本

労働協約とは?

労働協約とは,労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する協約であって,書面に作成され,両当事者が署名又は記名押印したもののことをいいます(労働組合法14条)。

ここでは,労働協約とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

労働協約とは?

労働組合法 第14条

労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は,書面に作成し,両当事者が署名し,又は記名押印することによつてその効力を生ずる。

労働協約とは,労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する協約であって,書面に作成され,両当事者が署名又は記名押印したもののことをいいます(労働組合法14条)。

労働条件や会社のルールなどを定めるために,労働者の利益を代表する労働組合と使用者との間で交渉を行い,その結果として締結されるものが,この労働協約です。

上記労働組合法14条の定義・要件に当てはまるものであれば,「覚書」や「協定書」などの名称であっても,労働協約としての効力を有するとされています。

労働協約には,労働条件や労使関係のルールを体系的包括的に定める包括的協約や,特定事項のみを定める個別的協約があります。

労働協約の法的性質

労働協約の法的性質をどのように捉えるべきかについては,2つの考え方があります。

1つは,労働協約を,一種の法規範と捉える見解です。法規範説と呼ばれます。法規範説によれば,労働協約の規範的効力は,法規範として当然の効力であるということになります。

もっとも,わが国では,企業別組合による労働協約が支配的であるため,企業横断的に産業別組合等と使用者団体によって労働条件等が設定される産業別協約のような客観的な規範性に乏しいことから,法規範説はわが国の実情に沿わない面があります。

そこで,労働協約を労働組合と使用者との間の契約であるとし,労働者保護や労使関係安定のために労働組合法によって規範的効力等が政策的に付与されているとする見解が通説です。契約説・授権説と呼ばれています。

労働協約の成立要件

前記のとおり,労働協約とは,労働協約とは,労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する協約であって,書面に作成され,両当事者が署名又は記名押印したもののことです。

したがって,労働協約が成立するためには,以下の要件が必要であるということになります。

  • 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する協約であること
  • 書面が作成され,両当事者が署名または記名押印していること

労働協約の当事者は,「労働組合」と「使用者またはその団体」です。労働協約は,労働組合でなければ締結できないのです。

ここでいう労働組合とは,使用者の利益代表者の加入する組合または使用者から経費援助を受ける組合(自主性不備組合)でないことが求められると解されています。

また,労働協約の内容は「労働条件その他」に関するものでなければなりません。

この「その他」とは,個別的労働関係または団体的労使関係に関連するものであることを要すると解されています。したがって,政治問題等に関する協約は,労働協約には該当しないことになります。

さらに,労働協約は,「書面が作成され,両当事者が署名または記名押印している」ものでなければならないとされています。要式行為であるということです。

労働協約の有効期間

労働組合法 第15条

第1項 労働協約には,3年をこえる有効期間の定をすることができない。
第2項 3年をこえる有効期間の定をした労働協約は,3年の有効期間の定をした労働協約とみなす。
第3項 有効期間の定がない労働協約は,当事者の一方が,署名し,又は記名押印した文書によつて相手方に予告して,解約することができる。一定の期間を定める労働協約であつて,その期間の経過後も期限を定めず効力を存続する旨の定があるものについて,その期間の経過後も,同様とする。
第4項 前項の予告は,解約しようとする日の少くとも90日前にしなければならない。

労働協約があまりに長期間存続すると,労使において状況の変化に適切に対処することができなくなり,かえって労使関係を不安定にしてしまうおそれがあります。

そこで,労働協約は,3年を超える有効期間とすることはできず(労働組合法15条1項),3年を超える有効期間とした場合には,有効期間を3年としてものとみなすものとしています(同条2項)。

ただし,労働協約上で,その協約について,異議がない場合には自動更新とする旨を定めることができると解されています。

また,有効期間の定めがない労働協約については,当事者の一方が署名または記名押印した文書で90日前までに解約予告することによって,解約することができるとされています(労働組合法15条3項,4項)。

労働協約の効力

労働組合法 第16条

労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は,無効とする。この場合において無効となつた部分は,基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても,同様とする。

労働協約の効力には,規範的効力と債務的効力があります。

>> 労働協約の効力とは?

規範的効力

労働協約のうちでも「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」については,規範的効力が認められています。

労働契約中の「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」に違反する労働契約の定めは無効となり,その無効となった部分または労働契約に定めがないものは,労働協約中の上記基準の定めが適用されます。

つまり,労働協約における「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」には,個々の労働契約を無効とし,その内容を直接定めることができる効力が付与されているのです。これを規範的効力といいます。

そして,規範的効力が付与される「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」のことを規範的部分といいます。

債務的効力

前記のとおり,労働協約は労使間での契約としての性質を有しています。そのため,労働協約には,その全体について,契約としての効力が発生します。これを債務的効力といいます。

債務的効力とは,要するに,その労働協約において定められた内容を遵守し履行なければならないという効力です。

また,債務的効力には,協約の当事者が,その労働協約の有効期間中はすでに協約において決まった事項の改廃を目的として争議行為を行わない義務が含まれると解されています。これを平和義務と呼んでいます。

労働協約のうちで,規範的部分ではなく債務的効力しか発生しない部分のことを債務的部分といいます。

労働協約の一般的拘束力(拡張適用)

労働組合法 第17条

一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至つたときは,当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても,当該労働協約が適用されるものとする。

労働組合法 第18条

第1項 一の地域において従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至つたときは,当該労働協約の当事者の双方又は一方の申立てに基づき,労働委員会の決議により,厚生労働大臣又は都道府県知事は,当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約(第2項の規定により修正があつたものを含む。)の適用を受けるべきことの決定をすることができる。
第2項 労働委員会は,前項の決議をする場合において,当該労働協約に不適当な部分があると認めたときは,これを修正することができる。
第3項 第1項の決定は,公告によつてする。

前記のとおり,労働協約には規範的効力や債務的効力が認められます。これらの効力が及ぶのは,その労働協約の当事者となった使用者と労働組合の組合員であるのが原則です。

もっとも,ある事業場で常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が適用を受ける労働協約は,事業場に使用される他の同種の労働者にも適用されるものと定められています(労働組合法17条)。

この場合,その事業場の「他の同種の労働者」が,当該労働協約の当事者である労働組合の組合員でなかったとしても,労働協約の効力が及ぶとされています。

これを,労働協約の事業場単位の一般的拘束力といいます。

また,労働組合法は,上記事業場単位のみならず,地域的な一般的拘束力も認めています(労働組合法18条)。

これは,ある地域において従業する同種の労働者の大部分が適用を受ける労働協約の効力が,当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者にも及ぶとするものです。

ただし,地域的な一般的拘束力が認められるためには,当該労働協約当事者の申立てや労働委員会の決議が必要とされています。

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