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労働基準法の基本

手待時間・待機時間は労働時間に該当するか?

実際の作業の終了後から次の作業が始まるまでの待機時間(手待時間)も,労働時間に当たると判断される場合があります。ここでは,手待時間・待機時間は労働時間に該当するのかについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

手待時間・待機時間

実際に業務に従事している場合,業務について実際に作業を行うことはもちろんですが,そうではなく,ある作業が終わった後に,次の作業ができる状態になるまでの間,作業をせずに待機することがあります。

この作業と作業の間の待機時間(手待時間と呼ばれることもあります。)は,実際の作業を行っていません。

しかし,だからといって,休憩時間のようにまったく労働から解放された自由時間というわけでもありません。

仮に,手待時間は作業をしていないので労働時間とはいえないと解することになると,その時間は休憩時間として扱われ,または,ノーワークノーペイの原則の適用の対象となり,その時間分だけ実労働時間を控除しなければならなくなりますから,残業代等の割増賃金額もその分だけ減額されてしまう場合が出てきます。

そこで,この手待時間が労働時間に該当するのかどうかが問題となってきます。

>> 労働時間性が問題となる場合とは?

手待時間の労働時間性

ある労働者の行為の時間が労働時間に該当するのか否かについては,その労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かが判断の基準になります。

この基準からすれば,作業と作業との間の待機時間(手待時間)であっても,使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができる場合であれば,労働時間に該当することになります。

そこで,手待時間について検討すると,手待時間は作業を行っていないとはいえ,使用者からの指示があればすぐに作業を始めなければならない状態にあるのですから,待機中であっても労働から解放されているわけでありません。

そうすると,手待時間は,使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できる時間といえます。したがって,原則として労働時間に該当すると考えるべきでしょう。

労働基準法41条3号も,手待時間が特に多い場合を断続的労働として特別の規定を設けており,手待時間が労働時間に該当することを前提としています。

行政解釈も「休憩時間とは単に作業に従事しない手待時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であつて,その他の拘束時間は労働時間として取扱うこと。」(昭和22年9月13日基発17号)とし,また,「出勤を命じられ一定の場所に拘束されている以上いわゆる手待ち時間も労働時間である」(昭和33年10月11日基収6286号)としており,手待時間は,休憩時間とは異なり,労働時間に当たるものと解釈しています。

実務においても,手待時間は労働時間に該当すると解するのが一般的であるといってよいでしょう。

ただし,待機時間中は休憩時間と同様に全くの自由時間であり,次の業務を行うか否かも労働者の自由であるというような例外的な場合は,労働時間に該当する手待時間とは認められない可能性があります。

したがって,実際に待機時間・手待時間の労働時間性が争点となった場合には「使用者からの指示があればすぐに作業を始めなければならない状況にあること」を具体的に主張・立証していく必要があります。

なお,ここでいう「使用者からの指示」は,必ずしも明示的な指示である必要はありません。具体的な状況からして黙示の指示があると言える場合も含みます。

労働時間となる手待時間の具体例

前記のとおり,手待ち時間は労働時間に該当すると解するのが,実務上は一般的です。

裁判例や行政解釈において労働時間として認められた手待時間としては,例えば,以下のものが挙げられます(なお,以下の場合に限られるわけではありません。)。

タクシー運転手の客待ち時間

タクシー運転手が客待ちをしている手待時間も,「タクシーに乗車して客待ち待機をしている時間は,これが30分を超えるものであっても,その時間は客待ち待機をしている時間であることに変わりはなく,被告の具体的指揮命令があれば,直ちに原告らはその命令に従わなければならず,また,原告らは労働の提供ができる状態にあったのであるから,30分を越える客待ち待機をしている時間が,被告の明示又は黙示の指揮命令ないし指揮監督の下に置かれている時間であることは明らかといわざるを得ない。」として,労働時間に当たると解されています(大分地判平成23年11月30日・中央タクシー割増賃金請求事件判決)。

貨物積込業務における貨物の到着待ち等の時間

昭和33年10月11日基発6286号は「貨物の積込係が貨物自動車の到着を待機しているいわゆる手待時間は,出勤を命ぜられ,一定の場所に拘束されている以上,労働時間である」として,貨物積込業務を行う際にその貨物が届くのを待つための待機時間も,労働時間に該当すると解釈しています。

同様に,昭和33年10月11日基発6286号では,「現実に貨物の積込を行う以外の時間には全く労働の提供はなく,いわゆる手待ち時間がその大半を占めているが,出勤を命ぜられ,一定の場所に拘束されている以上,労働時間と解すべきである。」として,トラック運転手が,出勤時刻からトラックの出発までの間にトラックに貨物が積み込まれるのを待機している時間も,労働時間に該当すると解釈しています。

休憩中の来客当番

手待ち時間そのものとは若干異なりますが,休憩時間中に来客対応の当番をさせられている時間も,労働時間に当たると解釈されています(昭和23年4月7日基収1196号,平成11年3月31日基発168号等)。

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