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断続的労働に従事する労働者とは?

労働基準法41条3号は,断続的労働に従事する者で,使用者が行政官庁の許可を受けたものについては,労働時間・休憩時間・休日の規定の適用が除外されることを定めています。したがって,断続的労働に従事する労働者については,時間外労働に対する割増賃金や休日労働に対する割増賃金が発生しないことになります。

ここでは,この断続的労働に従事する労働者とはどのような労働者なのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

労働時間・休憩・休日規定の適用除外

労働基準法 第41条

この章,第6章及び第6章の2で定める労働時間,休憩及び休日に関する規定は,次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
③ 監視又は断続的労働に従事する者で,使用者が行政官庁の許可を受けたもの

労働基準法施行規則 第34条

法第41条第3号の規定による許可は,従事する労働の態様及び員数について,様式第十四号によつて,所轄労働基準監督署長より,これを受けなければならない。

労働基準法41条は,労働時間休憩時間休日の規定の適用が除外される労働者を定めています。

労働時間規定が適用されないということは,時間外労働の規定も適用されないということですから,適用除外労働者が1日8時間または1週間40時間を超えて労働をしたとしても時間外労働に対する割増賃金(残業代)は支払われないことになります。

また,休日の規定も適用されないので,休日労働に対する割増賃金の支払いもないことになります。

この労働時間・休憩時間・休日規定の適用除外労働者の1つとして,労働基準法41条3号は,「断続的労働に従事する労働者」を挙げています。

断続的労働の場合,通常の労働に比べて労働密度が薄いため,身体の疲労や精神的緊張の度合いが小さく,労働時間・休憩時間・休日の規定を適用しなくても労働者保護に欠けるところがないことから,適用除外とされているのです。

断続的労働に従事する労働者について,使用者が行政官庁(労働基準監督署長)の許可(労働基準法施行規則34条)を受けている場合には,その労働者については労働時間・休憩時間・休日規定の適用が除外されることになります。

>> 残業代が支払われない監視・断続的労働従事者とは?

断続的労働とは

断続的労働とは,作業自体が本来間歇的に行われるものであるため,作業時間が長く継続することなく中断し,しばらくして(手待時間をはさんで)再び同じような態様の作業が行われ,また中断する,というように繰り返される労働のことをいいます。

そのため,断続的労働に従事する労働者とは,休憩時間は少ないが手待時間が多い労働者を意味すると解されています(昭和63年3月14日基発150号等)。

本来,継続的に作業に従事するものであるにもかかわらず,途中に休憩時間を何回も入れる等人為的に断続的な労働形態にしていたとしても,断続的労働には該当しません。

また,前記のとおり,断続的労働について労働時間・休憩時間・休日の規定の適用除外とされている趣旨は,通常労働に比べて身体疲労や精神的緊張が小さいことにあるので,そうでない業務,つまり,身体の疲労や精神的緊張度の高いものは,適用除外の断続的労働には当たらないと解されています。

なお,ある1日は断続的労働であるものの,他の日は通常労働であるという場合には,休日の規定の適用を除外すべきでないため,適用除外となる断続的労働には該当しないと解されています。

断続的労働に対する労働基準監督署長の許可

労働基準法41条3号は,「断続的労働に従事する者」で「使用者が行政官庁の許可を受けたもの」を労働時間・休憩時間・休日の規定の適用除外労働者として定めています。

単に「断続的労働に従事する者」であるだけでは足りず,そのうちでも「使用者が行政官庁の許可を受けたもの」でなければならないとされていることから,使用者が行政官庁の許可を受けていることは効力発生要件であると解されています。

したがって,断続的労働に従事する者に該当する場合であっても,使用者が行政官庁の許可を受けていない場合には,労働基準法41条3号の適用はなく,したがって,労働時間・休憩時間・休日の規定の適用は除外されないことになります。

ここでいう「行政官庁」とは「労働基準監督署長」です。そして,「従事する労働の態様及び員数について,様式第十四号によつて」許可を受ける必要があります(労働基準法施行規則34条)。

断続的労働従事者の許可基準

昭和63年3月14日基発150号(昭和22年9月13日発基17号,昭和23年4月5日基発535号,婦発第47号等)によれば,断続的労働従事者に対する許可は「概ね次の基準によって取り扱うこと」とされています。

  • 修繕係等通常は業務閑散であるが,事故発生に備えて待機するものは許可すること。
  • 寄宿舎の賄人等については,その者の勤務時間を基礎として作業時間と手待時間折半の程度まで許可すること。ただし,実労働時間の合計が8時間を超えるときは許可すべき限りではない。
  • 鉄道踏切番等については,1日交通量10往復程度まで許可すること。
  • その他特に危険な業務に従事する者については許可しないこと。

また,昭和63年3月14日基発150号では,「断続労働と通常の労働とが混在・反復する勤務」についても以下の基準を示しています。

断続労働と通常の労働とが混在・反復する勤務

法第41条第3号の許可を受けた者については,労働時間,休憩及び休日に関する規定がすべて除外されるのであるから,その勤務の全労働を一体としてとらえ,常態として断続的労働に従事する者を指すのである。したがって,断続労働と通常の労働とが1日の中において混在し,または日によって反復するような場合には,常態として断続的労働に従事する者には該当しないから,許可すべき限りでない。

上記のような許可基準が,労働基準監督署長の許可における一般的な基準とされています。また,これら以外にも,後述のとおり,各業種ごとに個別の許可基準が設けられている場合もあります。

宿日直勤務で断続的な業務の場合

労働基準法施行規則 第23条

使用者は,宿直又は日直の勤務で断続的な業務について,様式第十号によつて,所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は,これに従事する労働者を,法第32条の規定にかかわらず,使用することができる。

労働基準法施行規則23条は,「宿直又は日直の勤務で断続的な業務(宿日直断続的業務)」についても,「様式第十号によつて,所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合」には,これに従事する労働者を「法第32条の規定にかかわらず,使用することができる」としています。

つまり,宿日直断続的業務について,労働基準監督署長の許可を受けた場合には,労働時間・休憩時間・休日の規定の適用が除外されるものとしているのです。

この宿日直断続的業務とは,所定労働時間外または休日における勤務であって,当該労働者の本来の業務は処理せず,「勤務内容も定時的巡視,緊急の文書又は電話の収受,非常事態発生の準備等に限定される」ものであると解されています(名古屋地判昭和40年10月18日・全日本検数協会名古屋事件判決)。

したがって,所定労働時間後の業務であっても,開店のまま通常の業務を処理することを予定する業務や,所定始業時刻・終業時刻に密着して行う業務は宿日直断続的業務には該当しません(昭和36年9月20日基収第3068号,昭和43年4月9日基収第797号等)。

>> 労働時間規定等の適用が除外される宿日直勤務とは?

断続的宿日直勤務の許可基準

昭和63年3月14日基発150号は,断続的な宿日直勤務の許可基準について,以下のとおり定めています。

断続的な宿直又は日直勤務の許可基準

規則第23条に基づく断続的な宿直又は日直勤務のもとに,労働基準法上の労働時間,休憩及び休日に関する規定を適用しないこととしたものであるから,その許可は,労働者保護の観点から,厳格な判断のもとに行われるべきものである。宿直又は日直の許可にあたっての基準は概ね次のとおりである。

一 勤務の態様
イ 常態として,ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり,定時的巡視,緊急の文書又は電話の収受,非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。
ロ 原則として,通常の労働の継続は許可しないこと。したがって始業又は終業時刻に密着した時間帯に,顧客からの電話の収受又は盗難・火災防止を行うものについては,許可しないものであること。

二 宿日直手当
宿直又は日直の勤務に対して相当の手当が支給されることを要し,具体的には,次の基準によること。
イ 宿直勤務1回についての宿直手当(深夜割増賃金を含む。)又は日直勤務1回についての日直手当の最低額は,当該事業所において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金(法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に限る。)の1人1日平均の3分の1を下らないものであること。ただし,同一企業に属する数個の事業場について,一律の基準により宿直又は日直の手当額を定める必要がある場合には,当該事業場の属する企業の全事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者についての1人1日平均額によることができるものであること。
ロ 宿直又は日直勤務の時間が通常の宿直又は日直の時間に比して著しく短いものその他所轄労働基準監督署長が右イの基準によることが著しく困難又は不適当と認めたものについては,その基準にかかわらず許可することができること。

三 宿日直の回数
許可の対象となる宿直又は日直の勤務回数については,宿直勤務については週1回,日直勤務については月1回を限度とすること。ただし,当該事業場に勤務する18歳以上の者で法律上宿直又は日直を行いうるすべてのものに宿直又は日直をさせてもなお不足でありかつ職務の労働密度が薄い場合には,宿直又は日直業務の実態に応じて週1回を超える宿直,月1回を超える日直についても許可して差し支えないこと。

四 その他
宿直勤務については,相当の睡眠設備の設置を条件とするものであること。

断続的な宿日直勤務について労働基準監督署長によって許可がされるためには,上記の基準を満たしていることが求められます。

なお,許可後に申請事項の変更があった場合には,変更後の方が労働者にとって有利な状況となる場合を除いて,変更のあるごとに労働基準監督署長の許可が必要となると解すべきでしょう(昭和23年9月20日基収2320号,昭和63年3月14日基発150号)。

断続的労働が問題となる業務

断続的労働に該当するのかが問題となる業務として行政解釈等が示されているものとしては,例えば,以下のものがあります。

断続的労働従事者ではないとされた業務

  • 新聞配達従業員(昭和23年2月24日基発第356号)
  • タクシー運転手(昭和23年4月5日基収第1372号)
  • 常備消防職員(昭和23年5月5日基収第1540号)
  • 高圧線の保守等危険業務従事者(昭和23年11月25日基収第3998号)

原則として断続的労働従事者であるとされた業務

  • 役員専属の自動車運転手(昭和23年7月20日基収第2483号)
  • 寄宿舎の寮母・看護婦(昭和23年11月11日基発第1639号)

個別の判断が必要となる業務

  • 坑内労働者(昭和25年9月28日基発第890号,平成11年3月31日基発168号)
  • 製パン業従事者(昭和29年5月21日基収第1976号)
  • 汽船・引船乗務員(昭和34年9月1日基発599号)
  • 警備業務従事者(平成5年2月24日基発110号)
  • 社会福祉施設従事者の宿直(昭和49年7月26日基発387号)
  • 医師・看護婦等の宿直(昭和24年3月22日基発352号,平成11年3月31日基発168号)
  • 学校の用務員(昭和63年3月14日基発150号)

裁判における断続的労働の主張に対する反論

未払い残業代等を請求した場合,相手方である使用者側から,当該労働は断続的労働であるから労働時間規定の適用が除外され,残業代は発生しない旨の主張がなされることがあります。

そこで,断続的労働に該当する可能性のある業務の場合には,あらかじめ断続的労働従事者であるとの使用者側の主張が認められるものなのかどうかを検討しておく必要があります。

>> 当直・宿直・日直勤務について残業代等を請求できるか?

労働基準監督署長の許可の有無

まず最初に確認しておかなければならない問題は,当該労働について労働基準監督署長による許可があるのか否かです。

前記のとおり,労働基準監督署長による許可は効力要件ですので,断続的労働に該当するものであろうとなかろうと,許可がなければ,使用者側の主張は認められません。

したがって,許可の有無をまず確認しておくことが必要です。

断続的労働に該当するか否か

仮に労働基準監督署長の許可がある場合であっても,実際の勤務態様等からして,当該労働が断続的労働に該当するものでなければ,労働基準法41条3号の適用はないと解されています。

裁判例においても,医療機関の宿日直勤務について,断続的労働の許可を受けているものの実態は断続的労働とはいえないとして,使用者側に宿日直勤務時間の全部について残業代等を支払うよう命じたものがあります(大阪高裁平成22年11月16日・県立奈良病院事件高裁判決)。

そこで,労働基準監督署長の許可がある場合には,労働契約の内容や勤務態様等から断続的労働・断続的宿日直業務ではないことを具体的に主張・立証していく必要があるでしょう。

この場合,何を基準に断続的労働・断続的宿日直業務であるか否かを判断するのかが問題となりますが,基本的には,前記の労働基準監督署長の許可基準を用いることになるでしょう(上記大阪高裁判決も同基準を採用しています。)。

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