役員兼従業員の報酬は,法律上,賃金として扱われるのでしょうか?賃金として扱われるならば,労働基準法上の規制を受けることになるため,労働者にとっては重要な問題となってきます。
役員兼従業員の報酬と賃金の問題
会社の取締役が従業員を兼任しているという場合は少なくないと思います。この取締役には役員報酬が支払われることになりますが,その中には役員としての業務に対する報酬と従業員としての業務に対する給付とが含まれているということになります。
この役員兼従業員の報酬は,賃金となるのでしょうか?賃金として扱われるならば,賃金として労働基準法上の規制を受け,厳しい支払いの義務が使用者に課せられることになり,また,割増賃金計算の基礎となる所定賃金に含まれることにもなりますから,労働者にとっては重要な問題です。
役員兼従業員の報酬の賃金該当性
役員としての報酬は,使用者との間の委任契約に基づいて支払われるものですから,労働契約に基づく賃金とは異なります。したがって,この役員としての報酬については,賃金には当たりません。
もっとも,役員兼従業員の場合には,役員としての業務だけでなく従業員としての労働も提供しています。したがって,この従業員として労働を提供した部分について支払われるものについては,労働の対価として賃金に当たると考えることができます。
そこで問題となるのは,役員報酬なのか労働の対価なのかについての区別ということになります。
もちろん,委任契約等の締結の段階で,役員としての報酬なのか,従業員としての賃金なのかを区別してあればあまり問題はないでしょう。
しかし,そのような区別のないという場合も少なくありません。そのような場合には,役員としての報酬と従業員としての賃金の区別については,実際の労働実態から個別具体的に判断していく他ないでしょう。
そして,その上で,支払われている金銭のうちのどの程度が役員としての報酬なのか,どの程度が従業員としての賃金なのかを判断していくということになります。








