使用者が労働者に対して支払う福利厚生費は,法律上,賃金として扱われるのでしょうか?賃金として扱われるならば,労働基準法上の規制を受けることになるため,労働者にとっては重要な問題となってきます。
福利厚生と賃金の問題
使用者が労働者に対し,さまざまな福利厚生に関する給付を支払うことがあります。例えば,生活資金や教育資金の援助金,食事代・食費・食事そのもの,住宅手当・住宅ローン補助金・社宅の貸与などです。
これらの福利厚生に関する給付は,賃金となるのでしょうか?賃金として扱われるならば,賃金として労働基準法上の規制を受け,厳しい支払いの義務が使用者に課せられることになり,また,割増賃金計算の基礎となる所定賃金に含まれることにもなりますから,労働者にとっては重要な問題です。
使用者が支払う福利厚生費
生活資金・教育資金・住宅資金などが,単に使用者から労働者に対する貸付にすぎない場合には,当然のことですが,賃金には当たりません。
もっとも,これらの福利厚生費が貸付けでなく,しかも,就業規則等で支給の条件や支給の金額が明確に定められている場合には,労働の対価として支払われているものであると認められるので,賃金に当たります。
したがって,賃金として,使用者に対して厳しい支払いの義務が課せられることになります。
ただし,教育資金と住宅手当に関しては,割増賃金計算における除外賃金とされています。したがって,割増賃金計算の基礎となる所定賃金には含まれません。また,生活資金も家族手当に該当する場合には除外賃金となります。
なお,最近の問題として,マイレージのポイントなどが賃金となるかどうかという問題があります。これについては,賃金とならないというのが一般的な見解です。
使用者が提供する住居・食事等の提供
福利厚生は,金銭が支払われるばかりではありません。場合によっては,労働者に対して住居が貸与されたり,食事(まかない)が提供されたりすることもあります。これら金銭以外の給付についても賃金性が問題となります。
食事(まかない)については,その提供が就業規則などで労働条件として明示されている場合には,賃金となります。つまり,労働者は,使用者に対して食事の提供を請求することができ,その提供については厳しい提供義務が課せられることになります。
住宅の提供・貸与は,貸与を受けている労働者とそうでない労働者との平等を図る必要があります。そのため,貸与を受けていない労働者に対して,住宅の貸与の代わりに一定額の金銭が給付されている場合には,貸与を受けていない労働者についてはその支給額が,貸与を受けている労働者については,その住宅の貸与を受けていなかったならば支給されていたであろう金銭を算定し,その金額分が賃金となります。
例えば,住居の貸与を受けているある労働者が,仮に貸与を受けていなかったならば月に5万円の住宅手当の支給を受けていたであろうという場合,この5万円は賃金となります。
そして,この住居の家賃が8万円であったとすると,5万円は賃金ですので,使用者に支払いを請求できますが,3万円は自分で負担しなければいけないということになります(ただし,個別の労働契約等で全額賃金とする旨の約束があれば別です。)。








