付加金
労働基準法第114条本文は,「裁判所は,第20条,第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して,労働者の請求により,これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払い金のほか,これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。」と定めています。
どういうことかと言うと,使用者が,労働基準法第20条・26条・37条・39条6項に定める賃金を支払わなかった場合には,その未払い賃金と同額の「付加金」を支払わなければならないということです。
労働基準法20条の賃金とは解雇予告手当,26条の賃金とは使用者の責めに帰すべき休業手当,37条の賃金とは時間外手当(残業代)・深夜手当・休日手当という割増賃金,39条6項の賃金とは年次有給休暇中の賃金を指します。
したがって,上記のような割増賃金等を支払わなかった場合,それと同額の付加金を支払わなければならなくなる可能性があるということです。
例えば,100万円の割増賃金の未払いがあった場合,その100万円の未払い割増賃金に加えて,それと同額の100万円の付加金の支払いが命じられる場合もあるということになります。
この付加金制度は,上記のような割増賃金等の未払いをした場合に,金銭的な制裁を加えるという威嚇を与えることによって,割増賃金等の未払いを防止しようという趣旨から出たものです。
付加金が付される場合
もっとも,付加金は,どんな場合にでも付されるというわけではありません。
前記労働基準法114条規定のとおり,付加金は,「裁判所」がその支払いを命じることが「できる」というものです。
つまり,裁判でなければ付加金の支払いが命じられることはないということです。したがって,裁判で勝訴しなければ付加金は支払われないということになります。
労働審判においては付加金の支払いを命じる審判が下されないというのが,大半の裁判所の取扱いです。そのため,付加金が付されるのは,訴訟によって未払いの割増賃金等を請求した場合に限られるということになります。
また,付加金の支払いを命じる裁判(判決)は,裁判所が支払いを命じることが「できる」というもので,支払いを命じ「なければならない」というものではありません。
したがって,裁判所としては,事情によって,付加金の支払いを命じる場合もあれば,それを命じない場合もあります。また,(条文の解釈上の問題はありますが)付加金の一部だけの支払いを命じるという場合もあります。










