使用者から給付されるもののなかには,明確に賃金といえるのかどうかが分かりにくいものもあります。ここでは,使用者から給付されるもののうち,賃金該当性が問題となるものについて考えます。
労働基準法上賃金として扱われる給付
賃金とは,名称の如何を問わず,労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいうとされています(労働基準法11条)。典型的なものは給与です。残業代・深夜手当・休日手当など割増賃金も賃金に当たります。
もっとも,上記のような典型的なものだけが賃金というわけではありません。労働基準法では,その他の給付も賃金に当たるものがあることを規定しています。
まず,解雇予告手当です。使用者が労働者を解雇する場合には少なくとも30日前に予告をしなければなりませんが,その予告をしなかったときには代わりに30日分以上の平均賃金を支払わなければならないとされています。これを解雇予告手当といいます(労基法20条)。
この解雇予告手当は,労働の対償・対価とはいえませんが,労働者の生活の保護のために賃金と同様に扱われると考えられています。
次に,休業手当が挙げられます。使用者の責めに帰すべき事由によって労働者が休業した場合に,平均賃金の6割以上の手当を支払わなければならないとされています。これを休業手当といいます(労基法26条)。
この休業手当も,解雇予告手当と同様,労働の対償・対価とはいえませんが,労働者の生活の保護のために賃金と同様に扱われると考えられています。
なお,年次有給休暇中の給付は,現実に労働をしているわけではありませんが,それまでの労働の提供に対して一定期間の労働を免除して賃金を支払うことを認めるものであり,実質的には労働の対償・対価と同視できるため,賃金として扱われます。
また,使用者が支払う社会保険料,福利厚生費,業務関連費,慶弔禍福費,家族手当・配偶者手当,賞与・ボーナス,退職金なども,就業規則などで支給条件が明確に定められており,使用者に支払義務が認められるような場合には,解釈上,賃金に当たると考えられています。








