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賃金の意味・原則

ストックオプションは賃金に該当するのか?

使用者から金銭の代わりにストックオプションが付与される場合があります。ここでは,このストックオプションが賃金に該当するのかについて考えます。

ストックオプションとは?

ストックオプションとは,従業員や役員が自社の株式を一定期間内に一定金額で取得することが出来る権利のことをいいます。

従業員等は一定金額で自社株を購入できるので,自社株の株価によってはキャピタルゲインを得ることができます。そのため,企業等では,従業員に対するインセンティブ報酬の一環として用いられることがあります。

これに対し,従業員持株会の制度は,各従業員等が毎月一定額を積み立て,それによって持株会に集まったお金をもとに持株会が株式を買い上げて従業員に割り当てるというものです。

自社株を取得できるという点ではストックオプションと同様ですが,あくまで市場価格で購入しなければならず,ストックオプションのように一定金額で自社株を購入できるというわけではありません。

もっとも,従業員持株制度には,少額の積立てで自社株を取得できるようになるというメリットがあります。その意味では,従業員持株制度は,福利厚生の一環として行われるものといってよいでしょう。

なお,従業員持株制度は,あくまで自社株購入のための資金を労働者が支払わなければならないものですから,賃金には当たりません。

ストックオプションと賃金の問題

ストックオプションは,前記のとおり,インセンティブ報酬として用いられるものです。

そのため,ストックオプションによって取得した株式価格と時価との差額(キャピタルゲインの部分)は,原則として,税務会計上,給与所得として扱われています。

もちろん,そうであるからといって,当然に労働基準法にいう「賃金」となるというわけでもありません。労働基準法上の賃金というためには,使用者が労働者に対して支払う労働の対償(対価)である必要があります。

そこで,ストックオプションの付与やそれによる株式購入価格と時価との差額が労働の対価といえるのかどうかについて考えてみる必要があります。

ストックオプションは,確かに,インセンティブ報酬の一環として用いられることが多く,その支給の目的からみると,労働の対価といえるようにも思えます。

しかし,ストックオプションは,あくまで株式購入権という権利を付与するものにすぎません。

実際に株式を購入するには労働者が一定金額を支払って購入する必要があります。使用者から株式が支給されるわけでもなければ,購入価格と時価との差額が支払われるものというわけでもありません。

また,ストックオプションは権利ですから,これを使って自社株を購入するかどうかは,労働者の自由です。

つまり,労働者は,ストックオプションの権利を行使して株式を購入することも,逆に,購入しないこともできます。また,仮に購入するとしても,いつ取得するかは,労働者の意思にゆだねられています。

そうすると,ストックオプションは,労働に報いるという目的があるとしても,使用者から何らかの利益(株式そのものや差額に相当する金銭など)が現実に支払われるわけではなく,権利行使や権利行使の時期が労働者の意思に委ねられていますから,労働の対価ともいえません。

したがって,ストックオプションによる自社株購入権や自社株購入金額と時価との差額は,賃金には当たらないと考えるべきでしょう。

厚生労働省労働基準局の通達(平9.6.1 基発第412号)でも賃金には当たらないという解釈がなされています。

ストックオプションは,むしろ純然たる福利厚生の向きが強いと思われます。

ただし,就業規則などで,明確な基準のもと,自社株を当然に支給するとか,差額を補償するなどという取り決めがあれば,賃金と解釈する余地はあるでしょう。

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